突然だが、AppleのSafariとGoogleのChromeの誕生が同じところにあると知ったら、びっくりするのではないか。現在、両者は袂を分けているが、その昔同じエンジン(WebKit)を使っていた。2000年当初、ブラウザーはIE一色で、ネットといえば、IEを使うのが定説であった。しかし、IEは、独自のコードを使っていることが多く、それ以外のブラウザーでは表示がおかしくなるケースが増えていった。ブラウザー側もそれを知ってか、IEに準拠するようにエンジンを改良しなければならなかった。世界中のブラウザーがIE標準となった時、マイクロソフトは、開発を緩めることにした。この決定が、のちに第二のブラウザー戦争が始まることになる。また、Appleは、独自のブラウザーを開発すべく、どれを候補にするか考えていた。最初は、ネットスケープで開発されたGeckoを使用すると思われていたが、ソースコードがあまりにも肥大しすぎていたため、ドイツの学生らがLinux用に開発したKonquerorというエンジンが元になった。これは、オープンソースなので無料、ソースコードもコンパクトにまとめられていた。そのKonquerorを元に、色々なデータが表示できるよう拡張していった。それが冒頭にあるWebKitである。少ないコードなので、IEに比べてサクサク動作した。また、Safariの普及によって少しずつ定着していった。その頃、Googleも自社のブラウザーを開発すべく模索していた。Googleは、コード数が少なく、安定した動作であるこのWebKitに目をつけた。そして、Appleと協力してこのWebKitの開発に進めていった。その頃から、ブラウザー市場は、IE一辺倒の時代から、IEのように独自のコードを書く必要がなく、安定して動作するChromeへと少しずつ推移していった。ただ、このAppleとGoogleの蜜月は長くは続かず、GoogleはWebKitから離れ、独自のエンジンBlinkへと推移していくことになる。WebKitは、Apple製品で使える記述も多く、それに準拠して作られているコードも多かった。そのためGoogle独自の記述を入れ込もうとすると、難しい部分も多くなっていった。それを回避するためのBlinkの開発を進めていった。そして、現在では、ChromeではこのBlinkの技術を活かしたChromiumというエンジンで動いている。IEもEdgeというエンジンを開発し、市場の巻き返しを図ったが、時すでに遅し。思ったほどの成果が出ず、現在ではブラウザーエンジンの開発を諦め、Chromiumへと移行している。こうした経緯により、現在のブラウザー市場は、Chromiumベースでほとんどが占められている。それに反旗を示すかのように、FireFox のGeckoがわずか数%であるが孤軍奮闘している状態である。平家物語の「驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。」ではないが、ブラウザー戦争においてもそうした定理が働いているのだと思うと、面白いと思った。