2025年8月30日土曜日

ジャパンディスプレイについて

ジャパンディスプレイ(JDI)という会社がある。かつて、液晶は日本の独占場であった。しかし、中韓の台頭によって、栄花を誇った液晶産業はみるみる転落していった。シャープを始め、ソニー、日立、東芝といった日本を代表する企業が市場シェアを落としていった。そしてそれを救済するものとして、液晶連合が創設された。それが、このジャパンディスプレイである。この会社、以前はアップルのiPhone向けに液晶の生産をしていた。その為、営業収支も比較的安定していた。しかし、数年前からiPhoneのディスプレイが液晶からOLED(有機EL)にシフトしていった。もちろん、ジャパンディスプレイもOLEDの開発はしていたが、いずれも研究段階であり、量産化することができなかった。結局、市場はSumsungやLG、BOAなどの中華系のメーカーに独占され、日本の液晶メーカーは、徐々に市場シェアを落とすことになる。結局、ジャパンディスプレイは、携帯向け液晶の生産から撤退することになった。このままではこの会社は市場から消えてしまうのではないかと考え、政府が主導となり企業再生を行うことになる。3000億円という巨額な投資をしたのであるが、10年赤字が続き立て直すことができずこのファンドも支援を打ち切ることになる。では、ジャパンディスプレイは、このまま消えてしまうのかというと、eLEAPというこれまでにない革新的な技術を使って再び市場に売って出ようとしている。このeLEAPという技術は、これまでOLEDを作成するにはマスクというものを使い、塗布した材料を定着させる部分とそうでない部分を作成していた。それが、この技術を使うと材料を塗布する工程は同じなのであるが、光を当てる部分とそうでない部分を分け、その後洗浄することで、光の当立った部分だけ残るという技術を使っているらしい(私も、よく分かっていないのであるが・・・)。他に置き換えてみると、写真の現像のようで、光の当たった部分は明るくなり、当たらなかった部分は黒くなるのととても似ている。 この技術を使うと、同じ電力で3倍明るくなり、液晶の寿命も数倍伸びると言われている。ジャパンディスプレイは、この技術が2024年には量産化ができるといっていたが、2025年現在でも量産化には至っていない。あろうことか、資金繰りの悪化で、量産化をするべく準備を行っていた千葉の工場を今年売却することになったらしい。そして、日本での量産化を諦め、技術を中韓の企業に供与することでライセンス料をもらい、会社の存続を考えている。そんなこんなで、このジャパンディスプレイの株価は19円(100株で1900円)となっている。個人的には応援したいので、株を購入し応援することにした(ただし、僅かではあるが・・・。しかし、会社の経営が持ち直すとその価値は10倍にも100倍にも上がると思う)。eLEAPの技術が確立し、量産化が実現できれば会社は存続できると思うが、それが実現できなかった時、日本の液晶が音を立てて崩れることになる。 

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