若い頃,私には夢があった。パイロット,バレーボール選手,そして教師・・・。いろいろあったのだが,高校の頃描いていた夢は,バレーボール選手だった。中学校の頃,強豪と言われていたチームに勝ち,自分たちは強いんだという自負があった。今考えると,それは大したことはないのであるが,「井の中の蛙,大海を知らず。」の諺にあるように,田舎,それも離島に住んでいた私には,そうしたことも全く分からなかった。それで,高校を卒業したらいくつかの実業団から話が来て,バレーボール選手になるんだという夢を描いていた。しかし,現実は厳しく,3年の県大会ではなんと1回戦負けを喫してしまった。それまで毎日のように坂道を走って,体を鍛えがんばっていたのだが,夢は儚く消えてしまった。試合が終わった後,涙が出てきて止まらなかったことを覚えている。最近,夢とはなんだろうと考えることがある。それは,儚いシャボン玉のようでもあるが,そもそも夢とは何であるかさえも疑問に感じる。若い頃は,自分の夢を実現するためにもがき続けたが,この年になると「そんなに焦らなくてもよかったのではないか。」と感じる。幸せに生きるためには,社会的地位や名声などが大切なのではなく,いかに自分らしくあるかそのこと自体に意味があるのではないかと思う。私たちは,いずれは老いる。そうなった時,職業や学歴などなんの効力もなくなってしまうのだ。有名大学,有名企業,もちろんそうした職に就くことは幸せなのかもしれないが,それ以外にも,いやそれ以外の道の方が幸せに生きることができるのではないかと最近ふと考えてしまう。
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